深い思考を促す教科横断の問い(日本史×古文)

 教科横断の例として,日本史と古文の例を挙げます。文学史で隣接あるいは重複する内容を持ちますが,学習の土台となる基本的知識として,旧国名も知っておく必要があるのも共通しています。
 たとえば次の地図は下総国を着色したものですが,この地図を用いてどのような思考を促すことができるでしょうか

Iレベルなら「旧国名を答えよ」「現在この範囲に含まれる都道府県名をすべて挙げよ」というあたりでしょう。
思考を深めるには,基礎知識が必要です。では基礎知識とはどんなものでしょうか?
①旧国名の付け方は,都に近いほうから,上・下,あるいは前・中・後,あるいは近・遠の順
②当時の都は京都
③当時の交通路は海路
などが考えられます。①,②,③を総合して,この位置関係が説明できますが,知識がないならばないなりに,考えさせる発問は可能です。または,ジグソー法による学びの素材にもできるでしょう。
 たとえば「なぜ江戸から近いほうが下総なのか」 これは②の知識を引き出す問いです。
「なぜ房総半島の付け根側でなく先端側が上総なのか」 これは③の知識を引き出す問い。現代の感覚では船は高速交通機関ではありませんが,鉄道や自動車のない時代に,船(海路)は高速輸送手段だったのです。
①については,他の旧国名の場合も考えてみることもできます。この場合,下の大きな日本地図が使えます。

詠まれた歌を示すと古文寄りになり,山や港の名前があれば地理とも接点ができます。