深い思考を促す地理の問い

今回は,スカンディナヴィア半島の鉄山から搬出される鉄鉱石の問題です。
Iレベルなら
 「Kの鉄山名を答えなさい。」(正解はキルナかエリヴァレ)
 「この半島の沿岸を北上する海流名を答えなさい。」(正解は北大西洋海流)
 「山脈名を答え,大地形のうちいずれに分類されるかを選びなさい。」(正解はスカンディナヴィア半島・古期造山帯)
というところでしょう。(これら自体は基本中の基本で,知識として必要なのは確かです。ただし,ボスニア湾の名称等を答えさせたとしたら,どんな力を見たいのかが不明瞭な,一段とレベルの低い問いになります。)

Cレベルの記述問題の作例です。
キルナ鉱山
[解答例]
自国とはスウェーデンであるが,冬季はボスニア湾が凍結するため自国の港(ルレオ)から積み出すことができない。そのため,隣国ノルウェーの港(ナルヴィク)から積み出している。隣国の港が凍結しないのは,北大西洋海流偏西風の影響で高緯度の割には冬でも比較的温暖なためである。

Cレベルの問題にしてありますが,4つの「 」で採点ポイント(下線部一つにつき1点)に誘導しているのは確かです。本当は,「このように」以下をカットして,「なぜこのような方法がとられるかを説明しなさい」という問いにして,それでいて,「 」のポイントにきちんと触れた答案をつくってほしいところです。(つまり,そうなるように,授業の中で意識させておく,ということですが。)

Eレベルにするならば,たとえばこんなところでしょうか。
「このような方法が可能となるための条件について述べなさい。」
Cレベルの解答例に加えて,鉄道等の輸送手段や,両国の関係が良好であることなどにも触れる必要がありますね。