アクティブ・ラーニングの基本

アクティブ・ラーニングとは教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり,学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって,認知的,倫理的,社会的能力,教養,知識,経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習,問題解決学習,体験学習,調査学習等が含まれるが,教室内でのグループ・ディスカッション,ディベート,グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
カリキュラム・マネジメントとは「カリキュラム」とは,教育計画だけを指すのではなく,実施された内容およびその成果までを含めている。問題を解決するための手立てを具体的に計画し,実践し,その評価を行い,よりよいものに改善していく。その一連の作業をカリキュラムマネジメントという。
ICEモデルとはカナダで開発された評価モデルで,IはIdeas(基礎知識),CはConnections(つながり),EはExtensions(応用)を意味します。問いに対してどのように答えるかによって,I,C,Eのどの段階にいるかを評価する視点です。I,C,Eの段階に達しているかどうかを評価するための問いは,それぞれ異なるとも言えますが,一つの問いに対しさまざまなレベルで答えることのできるような問いができれば,より望ましいでしょう。
パフォーマンス課題とは様々な知識やスキルを総合して使いこなす(活用する)ことを求めるような,複雑な課題。 必ずしも実技的なものである必要はない。重要なのは,「評価したいと思っている能力ができるだけ直接あらわれる課題」「一まとまりのプロセスを含んだ課題」「知識や技能などを複合的に用いる課題」であることである。
ルーブリックとは「目標に準拠した評価」のための「基準」つくりの方法論であり,学生が何を学習するのかを示す評価規準(=指標,観点)と,学生が学習到達しているレベルを示す具体的な評価基準(=尺度,段階)をマトリクス形式で示す評価指針。ルーブリック評価は,被評価者と評価者の双方に評価規準と評価基準をあらかじめ提示し評価の観点を可視化することから,パフォーマンス評価に有効である。
ポートフォリオ評価とは学習活動の過程で生み出されたもの(作品,制作メモ,レポート,ワークシートなど)を蓄積し「パフォーマンス」を記録したものが教育分野でいうところのポートフォリオです。ポートフォリオ評価は,最終結果だけでなく途中で思考してきた過程を記録し,何ができるようになったかを自己評価することに適しています。
コンピテンシーとはPISAを実施しているOECDは,教育の成果と影響を分析する上で各国共通となるような「能力の定義」を作成し,「キー・コンピテンシー」として3つに分類しました。具体的内容としては「知識や情報や言語を活用する能力」「他人と円滑に人間関係を構築する能力」「計画を作り実行する能力」などがあります。
メタ認知とは自分がどんな状態であるかを冷静に観察する「もう一人の自分」の認知です。「自分は何ができて何ができないのか」「自分はどういうときにミスをするのか」「どんな資料を使ってどんな説明をすれば相手に伝わるか」などを考えることがメタ認知の例です。思考を深める上で大切な「振り返り,リフレクション」もPDCAサイクルのCに相当するメタ認知であり,これがうまくできるということは自分を伸ばすために大いに有益です。
反転授業とは反転とは,従来の「授業」と「予習・復習(宿題・演習)」の位置づけを逆にするという意味です。従来は「軽く予習をして授業で説明を受け,復習で問題演習」というスタイル(予習不要で復習中心の意識が強い)だったものを,「予習で概念や基礎知識を頭に入れ,それをもとに授業で思考を深めたり疑問を解決したりする」というスタイルに変えた授業です。
FD(Faculty Development)とは教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称で,教員相互の授業参観の実施,授業方法についての研究会の開催,新任教員のための研修会の開催などがその内容です。主に大学で用いられる用語ですが,その考え方は高校でいうカリキュラム・マネジメントにおいても参考になります。
クリティカル・シンキングとは証拠に基づく論理的で偏りのない思考,内省的思考(リフレクション),問題解決や判断を支えるジェネリック(汎用的)スキルのことです。「批判的思考」と訳される場合もあります。「批判的」という言葉に拒否反応を示したり,「相手の意見を否定すること」と誤って理解したりしている人もいますが,「論理的思考(ロジカル・シンキング)」とほぼ同義です。
これ以外の用語・略語を含むアクティブ・ラーニング関連の用語リスト

★アクティブ・ラーニングに関する最新の情勢はこちらから
 中央教育審議会(2016.05.30)配布資料
    中教審・初等中等教育分科会の教育課程部会(2016.08.26)配布資料
 高大接続システム改革会議(2016.03.25)配布資料