パフォーマンス課題とは

定義
様々な知識やスキルを総合して使いこなす(活用する)ことを求めるような,複雑な課題。(西岡加名恵氏の講演資料2013年1月21日による。
必ずしも実技的なものである必要はない。重要なのは,「評価したいと思っている能力ができるだけ直接あらわれる課題」「一まとまりのプロセスを含んだ課題」「知識や技能などを複合的に用いる課題」であることである。(山梨県総合教育センターによる。
関連サイト
VIEW21[小学版] 「活用」から考える授業づくり
ベネッセ教育総合研究所のサイト。京都大学松下佳代教授による。パフォーマンス評価の利点を説明してあるが,「思考力」「表現力」を丸ごと測れるわけではないことも指摘する。

学力評価とカリキュラム設計
京都大学オープンコースウェア(MOOC)における京都大学西岡加名恵准教授の教育課程論講義資料。パフォーマンス課題のシナリオ作りに必要な要素や,質のよい課題・ルーブリックの実例が紹介されている。

パフォーマンス評価による「指導と評価の一体化」の取り組み
埼玉県立朝霞高等学校春日井優氏による。ルーブリックを用いないパフォーマンス評価として,学習者の内省(リフレクション)や教師によるアドバイスについても紹介している。

思考力・判断力・表現力にかかわる社会科の学習評価~パフォーマンス課題を軸にした単元づくり~
岩田睦巳氏・原田信之氏による。岐阜大学教育学部「教師教育研究 9」。パフォーマンス課題を「パーツ組み立て型」「繰り返し型」「折衷型」の3つに分類し,「ミニ・パフォーマンス課題(MP)」を位置づけた単元構想モデルを提案している。

ドイツのパフォーマンス課題 ~思考力・判断力・表現力を育成する教材~
名古屋市立大学原田信之氏による。ボンの首相広場におかれているアデナウアーの首像の画像を元に考えさせる事例が紹介されている。

地学における「表現力」を中心としたパフォーマンス評価の具体例
北海道立教育研究所附属理科教育センター柳本高秀氏による。月の満ち欠けや日食・月食を表現する課題を紹介している。「観察・実験の技能に関して,『上手にできること』や『失敗をしない操作』など,児童・生徒が行う観察・実験の操作そのものを評価してきた授業者も少なくなかった。」という指摘は鋭い。

課題学習におけるパフォーマンス課題の設定と評価手法の検討
ジグソー法を取り入れた全員参加の学習活動,言語活動の充実を図った愛知県立蒲郡高等学校の取組。一人の生徒のワークシートを複数教員がルーブリックを用いて評価した結果が紹介されている。校内体制づくり,年間の計画,ルーブリックの内容,生徒の変容の状況などがわかる。

学習意欲向上とコミュニケーション能力育成のため英語科でパフォーマンス課題と評価を実践
SELHiに指定されていた京都府立園部高校の事例。中高一貫コースを持つ同校で6年間(ないし3年間)に目指す学力推移を図示している。「わくわくキャッチ」の独自コーナーの内容。

パフォーマンス課題とルーブリックで発信力を問う英語授業
佐賀大学文化教育学部附属中学校横山千晴氏による。「来日して間もない留学生に,佐賀大学周辺をわかりやすく,説明するにはどうすればよいか」という,単元を貫く問いを立て,パフォーマンス課題を設定した事例。「ルーブリック項目は途中で追加する」「自分の目標を明確に持つ上でルーブリックを活用する」など,パフォーマンス課題やルーブリック作成が分かりやすくまとめられている。

授業力向上の取り組み パフォーマンス課題と評価
大分県日田市立大山小・中学校の指導力向上の取組。「あまり意欲が感じられないな」「もっと自分の考えを言ってほしいな」という教師の気持ちと裏腹に子どもは「またワークシート学習かあ・・・」「先生の説明を聞いてばかりだな・・」と感じているという「思いのずれ」を認めて,児童生徒が考え表現したくなる授業をめざす実践報告。「逆向き設計」論や「パフォーマンス課題の条件なども簡潔に紹介されている。生徒指導の3機能を生かした板書記録の交流も参考になる。

社会を実感できる授業を目指してⅦ ~パフォーマンス課題とその評価を生かした,思考力・判断力・表現力等の育成~
北海道教育大学附属函館中学校の阿部智子氏・深見亘氏による。「なぜ東京の人口は増え続けているのか」を記述により説明させるパフォーマンス課題である。思考の道筋を可視化するワークシートとルーブリックを用いている。


※体育実技や調理実習は,それ自体がパフォーマンス課題です。(ただし,どんな力を見たいのかを言葉で説明することが行われてきたとは限りません。)他の教科のパフォーマンス課題は,最近になって広がってきました。たとえば社会科のパフォーマンス課題例としては,歴史なら時代新聞,公民なら政策提言,地理なら都市計画があります。よく用いられる問いかけは,「あなたは○○時代の新聞記者です。この時代のできごとを分かりやすく読者に伝えよう。」「市役所に街づくりを提案しよう。」などでしょう。壁新聞,ポスターセッション,小論文,口頭発表,寸劇など,パフォーマンスの方法はいろいろ考えられます。教科の本質に迫る本質的な問いを立て,生徒にその課題の必要性・必然性を感じさせることが大切です。
 パフォーマンス評価は「フィギュアスケートの採点に似ている」と言われます。ただしスケートとの違いは,「3回転半ジャンプは成功しなかったけれど,そこを目指して行ってきた過程も評価する」というところにあります。3回転半ジャンプができる能力(=コンピテンシー)を評価しようとするパフォーマンス課題とは,どんなものなのでしょうか。