ルーブリックとは

定義
 「目標に準拠した評価」のための「基準」つくりの方法論であり、学生が何を学習するのかを示す評価規準(=指標,観点)と,学生が学習到達しているレベルを示す具体的な評価基準(=尺度,段階)をマトリクス形式で示す評価指針のこと。ルーブリック評価は,被評価者と評価者の双方に評価規準と評価基準をあらかじめ提示し評価の観点を可視化することから,パフォーマンス評価に有効であり,評価者ごとのズレの発生を抑制し,被評価者への答案やレポートのフィードバックを促進する上で有効である。
中央教育審議会 大学教育部会(2011年12月9日)濱名篤委員の説明資料をもとに作成)
関連サイト
キーワードで読み解く大学改革の針路 第3回 ルーブリック
金沢大学・杉森公一准教授による。VALUEルーブリックの紹介,ルーブリックの語源,「ラーニング・アウトカム」「真正の評価」「モデレーション」などの概念についてもコンパクトに説明されている。Between2014年10-11月号。

ルーブリック
大塚章夫氏のサイト。ルーブリックを用いたパフォーマンス評価の説明がある。

ルーブリック評価の例と作り方
東北福祉大学のサイト。大学を中心としたルーブリック評価の例が豊富。中学校のものもある。

アメリカにおけるバリュールーブリックの動向
関西国際大学・吉田武大氏による。バリュー(VALUE)とはValid Assesment of Learning in Undergraduate Educationの略。学生の多面的な能力を測定し,異なる大学間でも比較できるものとすることを目指すバリュープロジェクトの取組の一部がバリュールーブリックである。標準化されたテストの結果だけでなくさまざまな学習成果を蓄積するe-ポートフォリオ活用についても紹介している。

ルーブリックの作成と編集
富山大学のサイトの利用ヘルプページの形態をとっているがルーブリックを知るためにも参考になる。

一般的ルーブリックの必要性
奈良教育大学の安藤輝次氏の論文。「わが国の目標準拠評価(いわゆる絶対評価)は,単元別の評価規準に拘っているために・・・教師でさえルーブリックを十分理解できず,使いこなせていない。」という指摘は鋭い。一般的ルーブリックと単元別ルーブリックの違いも述べられている。なお,2ページ目の「一般的ルーブリック」と「単元別ルーブリック」は見出し行と内容が入れ替わっている。
同じ著者の「形成的アセスメントの実際 -中学社会科・高校地歴科を例にして-」も,ルーブリック作成の参考になる。

大学におけるルーブリック評価導入の実際
立命館大学の沖裕貴氏の論文。日本の初等中等教育におけるルーブリック評価の活用と課題についても言及している。

ライティング・ルーブリックの実践
同志社大学・脇田里子氏による。留学生に対する日本語ライティング授業実践を紹介し,学習者へのフィードバック充実や教員による評価の差異を縮小などについて述べている。教員と学習者の評価のずれや学習者のコメントも紹介されており,ルーブリック評価導入の参考になる。

広島文教女子大学におけるコモンルーブリック開発と実践的展開
広島文教女子大学の今崎浩氏・溝渕淳氏による。コモンルーブリック作成の検討過程を記すとともに,「なぜそのl評価なのか」というレポート評価の根拠や,評価結果を学生にフィードバックした際の学生の反応などが紹介されている。

ジャストスクール
ジャストシステムのサイト。「実践事例レポート」のなかに「ルーブリックで授業づくり」がある。

Rubric Chart ルーブリックチャート
Nichibun.netのサイトでルーブリックを作成したり生徒が学習活動を自己評価する機能をもつソフトウェアが紹介されている。

論文採点基準表
大阪市立大学『大学教育』 第8巻第2号。 「経済学部・経済学研究科の事例」のp37に,卒業論文等の評価基準と評価規準が示されており,総合的な学習における卒業研究等のルーブリック作成の参考になる。

※ルーブリックは,「量的ルーブリック」と「質的ルーブリック」に分けることができます。量的ルーブリックは例えば文字数を数段階に区分したような評価基準で,質的ルーブリックは例えば抽象度の高低で区分したような評価基準のものです。ICEモデルに基づくルーブリック(ICEルーブリック)は質的ルーブリックの例と言えます。
 教師は評価することは慣れていても自分が評価されることには抵抗感を持ちがちです。パフォーマンス課題を課しルーブリックを生徒とともに作ることは授業の方法にとどまらず生徒観や教育観の変化につながる可能性があります。ルーブリックを活用することは,カリキュラム・マネジメントとの関係で言うとPDCAのCの部分を見直すことでもあります。